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いい人をやめる方法|断れない、相手の顔色を伺ってしまう悩み

 
「断りたいのに断れない」
「つい、相手の顔色を伺ってしまう」
「いい人をやめたいのに、やめられない」
このような悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

長年いい人を演じ続けたり、「断りたいのに断れない」体験を繰り返していると、「私は言いたいことが言えない人」「私は断れない人」という自己イメージが固定化され、意図しなくても反応的にいい人を演じてしまうことがあります。そして後になって「あの時、こう言えばよかった」「断ればよかった」とモンモンとする方も多いのかもしれません。
 

なぜ、いい人をやめることができないのか?

いい人をやめる方法についてお話しする前に、なぜ、「いい人」を演じてしまうのか?その心理的背景について考えてみましょう。結論から言うと、「いい人」を演じてしまう時、その根底には自分イメージに対する恐れがあります。

「いい人をやめたいのにやめられない」という方に「どうしてわざわざ、やりたくもない”いい人”をやり続けていたんですか?」と尋ねると、「相手を怒らせてしまうから」「相手から嫌われてしまうから」という答えが返ってくることがよくあります。

ここで重要なことは、「相手を怒らせること」「相手から嫌われること」自体に良い・悪いはないということです。私たち人間は、別々の思考や感情を持った個体として存在しているので、本来、人と人との関わりの中で感情的な行き違いが生じるのは自然なこと。「相手を怒らせること」「相手から嫌われること」に良い・悪いは無く、そこにジャッジを入れているのは自分自身だと言うことです。

そしていい人をやめられない人は、「相手を怒らせること」「相手から嫌われること」は悪いことだというジャッジをしています。

なぜ、「相手を怒らせること」「相手から嫌われること」が悪いのかというと、その奥に恐れがあるからです。
人を怒らせる私は愛されない。人から嫌われる私は価値が無い。
という恐れがあるからです。

そしてそもそも、それらの恐れが生まれるのは、自分自身に対して「私は愛されない人」「私は価値がない人」という自己イメージがあるからです。「私は愛されない人」「私は価値がない人」という自己イメージから来る恐れに向き合わないで済むように、いい人を演じているのです。

「職場など、オフィシャルな場所ではいい人を演じざるを得ない」という事情がある方もいるかもしれません。「上司を怒らせると、雰囲気が悪くなる」とか、「仕事が進めづらくなって支障がでる」こともあるでしょう。

しかし潜在意識の観点から見れば、いい人をやめられないのは、そういった環境が原因ではありません。自分自身の中に「私はいい人を演じないと愛さない(価値がない)」と言う想いがあるから、いい人を演じ続けられるような環境をわざわざ作っている(選んでいる)、というのが真実なのです。
 

いい人をやめる方法|意見と自分自身を同一化しない

いい人をやめる心理的アプローチはいくつかあります。本質的には自己イメージに対する恐れを解消するのが望ましいですが、そのためには時間がかかる場合もありますので、今日から意識を変えていくための重要なヒントをひとつお伝えします。結論から言うと、「意見と自分とを同一化しない」ことです。

断りたいのに断れない、言いたいことが言えない人には、「相手の意見に反論したら、相手は怒るはずだ」という心理的な前提があります。この前提は、自分自身が「自分の意見に反論されたら怒りを感じる」から生まれます。

そしてこの「自分の意見に反論されたら怒りを感じる」反応は、自分の意見と自分自身を同一化しているから生まれるものなのです。

人は、自分の意見や信念、好きなもの、所属するコミュニティなどを否定されると、まるで自分自身が否定されたように感じることがあります。これは、自分自身と何かを同一化して、自分という存在を強化しようとする意識の習性でもあります。意識に対して無自覚なままでいると、私たちは、何かを自分自身と同一化してしまいやすいのです。

そして重要なことは、あなた自身は、あなたの意見や信念、好きなもの、コミュニティとは別の存在だということです。あなたの意見とあなた自身は別の存在であり、意見はあなたそのものではありません。

自分の意見と自分自身とを同一化しなければ、たとえ他人から自分の意見を否定されても、それを自分自身に対する否定として結びつかなくなります。反論や否定の意見は単なる情報として受け取ることができるようになるので、怒りや苛立ちなどの感情の揺れも起きにくくなります。自分が自分の意見を否定や反論されても平気になるので、「相手の意見に反論したら、相手は怒るはず」という前提も崩れていきます。

いい人をやめる最もてっとり早い方法は、その悩みを創っていた心理的な前提に気づき、その前提が幻想だったと気づくことなのです。