執筆者:出口稀一
トランスフォーメショナル・コーチ®、心理アドバイザー
前編の記事では、「そもそもなぜ、セルフイメージを高めることが重要なのか?」「セルフイメージが現実に影響を与えるメカニズム」と、セルフイメージを高めるための言葉や行動について、いくつかご紹介しました。
後編では、さらにいくつかのセルフイメージを高める言葉と行動に加え、セルフイメージに関する本質的なお話をお伝えいたします。
まだ前編を読まれていない方はこちらからご覧ください。
前編 ▶︎ 【2018年最新版】セルフイメージを高める言葉と行動とは-前編-|セルフイメージを書き換えるコツとは
第1章 セルフイメージを高める・書き換える行動(後編)
1-1_ライバルを応援する
1-2_部屋を綺麗にする
1-3_ネガティブ感情がわいてきた時の対処法
1-4_行動から変えていく時のポイント
第2章 セルフイメージを高める・書き換えるための本質を理解する
2-1_セルフイメージが変わると人間関係は自然に変化していく
2-2_憧れの人の長所は、あなたの本質の中にもそれがある
2-3_小さな変化を大切にする
2-4_不安やモヤモヤはうまくいっている証拠
2-5_どんな学びも自分を責める材料にしない
2-6_ドリームキラーの言葉も利用する
第3章 「私には何かが足りない」は幻想
セルフイメージを高めて現実を変えていきたい方へ
仕事やスポーツなどでライバルの存在がいる時に、そのライバルに対してどのような意識を向けるか?も自分自身のセルフイメージに影響します。
プロゴルファーのタイガーウッズ選手は、勝敗を決する一打をライバルが打つ時に、「入れ!」と念じていたそうです。ギリギリの勝負の中で、相手の成功を祈っていたということです。
セルフイメージが低い人は、ライバルの失敗を喜んだり、成功しないことを願ったりします。逆にセルフイメージが高い人は、ライバルが成功することで、よりハイレベルな戦いができることを喜びます。
「そうなるまで、そうであるかのようにふるまう」ことが、セルフイメージを変えるための大原則。
あなたにもしもライバルと呼べる存在がいるなら、ライバルを全力で応援しましょう。もしも、ライバルの失敗を喜んだり、成功しないことを願う想いが自分の中にわいてきたら、全力で思考を止めることを意識してください。
私たちは、自分を取り囲むすべてのことからメタファーとして、意味を受け取っています。
メタファーとは、見聞きしたことに対して、無意識下で自分に当てはめて意味付けをするということです。
昔話なども、子供に大切なことを教えるためのメタファーとしての役割があります。
散らかった部屋に住んでいると、視覚からそのメタファーを受け取り「私はとっちらかっている人」「私は整理できない人」というセルフイメージが創られます。
引越しによってセルフイメージが激変し、現実が変化したというケースもよくある話です。
(引越しに必要なタイミングが、偶然のように見えて、その人に必要なタイミングで訪れることも珍しくありません)
セルフイメージが小さいと、他者の言動からセルフイメージの小ささを刺激され、その刺激に対する反応として「悲しみ」「怒り」「苛立ち」「嫉妬」などのネガティブ感情を感じることがあります。
そして、そのネガティブ感情を感じている自分自身に対して、「こんな気持ちになっている自分が情けない」と、さらにセルフイメージを下げるループにはまってしまうことがあります。
感情と身体はリンクしているので、そんな時は
・身体を動かす
・太陽の光を浴びる
・視線を上げて、姿勢をよくして、肩や足を開く
ことを試してみてください。
禅の修行の中に「掃除」がありますが、これは掃除をして身体を動かすことによってネガティブ感情(煩悩)を払うことができるからなのです。
セルフイメージを変えるための行動として、
・高い服を買う
・高級ホテルのラウンジでお茶をする
など、「今まで買ったことがない高額のものを買う」ことが勧められることがあります。
今まで「自分にはこれぐらいの価値のものがふさわしい」というセルフイメージに対して、上質なものや空間に触れることによってセルフイメージを変えていくための試みです。
もちろん、これがうまくいく場合もありますが、あくまでもその時の自分の内側に気を配る必要があります。
高い服を買ったり、高級ホテルのラウンジでお茶をすることによって、心地よい感覚を味わえるならそれも良いでしょう。
一方で「無理して高い服買っちゃったから、これでちゃんとセルフイメージが上がって現実が変わらないと困るな」「家族にもいい想いさせてあげられないのに、自分だけいい想いして罪悪感感じる」などのように、焦りや罪悪感が湧いてくるなら、その方法は今のあなたに合っていません。
また、他人に対して見えを張り、無理して高いものを買ったり使ったりすることも、セルフイメージを高めるには逆効果です。その奥には「人から認められたり、羨ましがられたい」という想いがあり、その想いの前提として、セルフイメージの小ささがあります。(セルフイメージが小さいから、人から認められたり羨ましがられることが必要になる)
そのため、他人に見えを張って無理して高いものを買うほどに、セルフイメージは下がり、それに見合う現実が創られていきます。
持ち物や買い物からセルフイメージを変えていくには、むしろ小さなことから始めた方がうまくいきやすい人もいます。
例えば、お客さんが来たら新しいふかふかのタオルを出してあげるのに、自分はいつまでもカピカピのタオルを使ったりしていませんか?「どうせ自分が使うだけだから」といって、他人には使わせないものを自分に使ったりすることは、セルフイメージを下げてしまいます。(そのカピカピのタオルが気に入っていて、積極的に使う場合は別です)
小さなことから、身近なところから、自分を大切にする表現として、上質なものを使うことを始めてみましょう。
「自分の身近な人5人の年収を足して5で割ると、自分の年収に近い数字になる」と言われます。
身近な人間関係は何よりも強烈なメタファーとなりますので、当然、そのようなことが起きてきます。
このような理論から、セルフイメージを高めるために「過去の人間関係をたって、成功者の人脈を創ろう!」という人もいます。
もちろんそれでうまくいく場合もありますが「セルフイメージを高めるためには、付き合う相手を変えなくちゃ」と思うあまり、今の置かれている環境を否定して「こんなところにいては自分のセルフイメージに悪影響だ」「この環境から早く抜け出さなくては」という不安や焦りを感じてしまうと、それも逆効果です。
セルフイメージが変われば、無理に付き合う相手を変えようとしなくても、おのずと人間関係や環境は変化していきます。重要なのは、他人や環境よりもまず、自分の内側が満たされていることだと言うことを忘れないようにしましょう。
心理学の用語で”投影”という言葉があります。
投影とは、自分の中にある受け入れがたい感情や観念を他人に映し出して見ることです。例えば、他人の嫌なところが目に付くとき、それは実は自分の中にある、ということです。これはなんとなく納得できる方が多いのではないでしょうか。
そしてこの投影は、相手の嫌なところだけではなく、良い面にも当てはまります。
つまり、あなたの憧れの人の「素敵だなと思うところ」は、あなたの中にもすでにあるということ。相手の良いところも悪いところも、あなたの中にもそれがないと、投影されることはありません。
うつくしいものを
美しいと思える
あなたのこころが
うつくしい
(相田みつを)
潜在意識には自他の区別がありませんから、他人の中にある「素敵だな」「豊かだな」「美しいな」と感じるものに意識を向ければ、自分の内側にあるそれらが拡大していきます。
逆に、他人の中にある「醜いな」「卑しいな」「いじわるだな」と感じるものに意識を向ければ、自分の内側にあるそれらが拡大することになります。
他人の中にある素晴らしさに意識を向けると、それに比較して自分のダメさを感じていた方もいるかもしれません。しかし、その必要は全くないのです。なぜなら、その素晴らしさはあなたの中にも確実に存在するからです。
他人の中にある素晴らしさに意識を向け、その素晴らしさを祝福すればするほど、あなたのセルフイメージが拡大していきます。
セルフイメージが変化し始めると、それに伴い現実も変化していきます。
ところが、潜在意識には恒常性維持機能があるために、その変化は緩やかに、小さな変化から始まることがほとんどです。
この時に「これぐらいの変化は変化といえない」と、変化に「大きい小さい」の区別を私たちはつけてしまいがち。しかし潜在意識にとっては変化に大きいも小さいもなく、潜在意識にとっては一つの変化です。
その小さい変化を「これぐらいは変化のうちにはいらない」と無かったものにすれば「私はやっぱり変われない人」という前提が強化されます。逆に「私はちゃんと変化している。前に進んでいる」とその変化を認めれば、潜在意識も「現状維持が安全だと思っていたけど、変化することは危ないことじゃないんだ。楽しいことなんだ」と学習し始めます。
すると次第に、私たちが思考で”大きな変化”と解釈するような変化も起きてくるのです。
変化の始まりは、3歩進んで2歩下がるぐらいのペースで起こる。ぐらいの認識でいた方がうまくいくでしょう。
セルフイメージが変化していくプロセスの中で、不安やモヤモヤなどの感情を感じることがあります。あるいは、古いセルフイメージに揺り戻すような出来事に直面することもあります。
これらも全て、潜在意識の恒常性維持機能によるものです。潜在意識は「現状維持が安全」というのがデフォルトなので、元の「低いセルフイメージの自分」に戻すために、そのような現実を創りだすのです。
そのような不安やモヤモヤ、古いセルフイメージへの揺り戻しのような現実を見せられた時に「私はやっぱり変われないんだ」と変化を止めてしまうのが、多くの人が変化しきれない原因です。
しかし見方を変えれば、不安やモヤモヤ、古いセルフイメージへの揺り戻しが起きるのは、ちゃんと変化が進んでいる証拠とも言えます。「ああ、この不安や現実の揺り戻しは、私のセルフイメージがちゃんと変化しているからこそ起きているんだな。ちゃんと前に進んでいるな」と意味付けをして、その都度、「私はこういうセルフイメージの人でいます」と決め直すことを積み重ねていけば、次第に変化が加速してきます。
潜在意識やセルフイメージなどについて知識が深まってくると「こんな風に考えるのは良くない」「こんな想いはダメだ」などのように、自分の感情や想いを否定してしまうことがあります。
セルフイメージを高めたり、潜在意識を活用することは、自分が満たされて豊かに生きるためなのに、それによって自分を責めてしまうことになっては本末転倒です。
たとえどんな学びであっても、自分自身を責める材料にしないこと。あくまでも自分が幸せに生きるための学びだと言うことを忘れないようにしたいものです。
セルフイメージを高める・書き換えるプロセスにおいて、ドリームキラーが現れることがあります。ドリームキラーとは、「あなたにはそれは無理よ」などの言葉で夢を邪魔してくる人のことを指します。
セルフイメージを高めるためには「ドリームキラーとは関わらない」とよく言われますが、そもそも「ドリームキラーを避ける」行動そのものが「私は他人に左右される人」という受け身なセルフイメージを育ててしまいます。
自分の人生は主体的にコントロールするセルフイメージを持つ人ならば、ドリームキラーの言葉ですら、理想を実現するための手段にします。
あなたの夢を「そんなことできるわけないよ」と言われたなら、「私は他人基準ではなく、自分基準で生きてるかな?」と確認するチャンスと見ることもできます。
あるいは、他人に反対されてもなお、本当に自分のやりたいことや想いに気づくチャンスと見ることもできるでしょう。
このように「すべてのことが、自分の態度によって感謝できる体験に変えられる」という前提が、セルフイメージをさらに育てていきます。
セルフイメージとは、そもそも「私は何かが欠けている」「私は何かが足りない」という想いから生まれています。
そして、この「何かが欠けている」「何かが足りない」という想いは、”他の誰か”や”一般論”と自分を比べて、何かが足りないとジャッジしている状態です。
そうさ 僕らは世界に一つだけの花
一人一人違う種を持つ
その花を咲かさせることだけに一生懸命になればいい
(『世界に一つだけの花』槇原敬之)
槇原敬之さんは歌詞を書く時、「考えて」書くタイプらしいのですが、『世界に一つだけの花』の歌詞だけは「降りてきた」と語られているそうです。これはふだん、顕在意識で歌詞を書いている槇原さんが、『世界に一つだけの花』の歌詞は潜在意識と繋がることによって書いたと推察されるエピソードです。
この歌詞にあるように、私たちは本来、ひとりひとり違う”種”を持って生まれています。
私たちが「何かが欠けている」「何かが足りない」と言うセルフイメージを抱く時、それは、本当はアサガオの種を持っているのに、「ヒマワリの花が咲かない」「ヒマワリの花になりたい」と嘆くようなもの。
アサガオはアサガオとして完璧であり、ヒマワリと比べて何かが欠けているとか、優劣があるわけでもありません。その種そのものが完璧であることを信頼し、ただ、自分の花を咲かせることに一生懸命になることが、どんな言葉や行動よりもセルフイメージを高めていくのかもしれません。
すべての現実は潜在意識下にその根本原因があり、その根本原因にアプローチすることで現実を変えていくことができます。
こちらの記事や情報も参考になるかと思います。ぜひご活用ください。
参考記事:人間関係がうまくいかない時の潜在意識にある要因と現実を変える方法
参考記事:何をやってもうまくいかない時の潜在意識にある根本原因とは
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