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後悔は「いまの自分はどういう人でいたいか?」を教えてくれる

「出口さんとプリクラとりたい」

児童相談所で働いていたころ、僕が担当していたひとりの女の子がこんなことを言いました。

親から歯が折れるほどの虐待を受けて、保護をしていた子です。その日は、女の子の誕生日でした。

 

児童相談所で誕生日を過ごす子どもは、親との交流ができない場合、誰からも祝われることなく1日が終わってしまうことがあります。

だから僕は、担当している子どもの誕生日には、一緒にお出かけすることに決めていました。そして、その女の子に行きたい所を尋ねたら、プリクラをとりたいというのです。


守秘義務があるため、児童相談所の職員が子どもと一緒に写真を撮ることは禁じられています(自治体によって違うかもしれませんが)。

一瞬迷いましたが、僕は「決まりがあって、◯◯ちゃんと一緒にプリクラはとれないんだよ」と伝えました。

ふだんはわがままで周囲を困らせることの多い女の子でしたが、その時は寂しそうな表情をしただけですんなり受け入れてくれました。小さい頃から施設で暮らすことの多かった彼女は、「わがままを言っていいこと」と「願っても叶わないこと」がわかっていたんだろうと思います。

 

もう10年ぐらい前の話ですが、僕はこのことがずっと心にひっかかっていました。

その子にとって、誕生日に誰かと一緒にプリクラをとることは、とても大切な意味があったはずなのに。

先月、当時の上司と会う機会があり、僕は初めてこの想いを人に聞いてもらうことができました(いままで人に話したことがなかったので)

すると不意に涙がぼろぼろと出てきてしまって。自分で思っていた以上に、この心残りが僕の中に深く残っていたようです。

 

僕はこの小さな後悔を、一生わすれることはないと思います。

ただそれは、ネガティブな意味ではありません。

この後悔があるからこそ、僕は

「いま」目の前の相手にどのように関わるか?

「いま」自分はどういう人でいたいのか?

を自分に問い、その答えに真摯に生きることがどんなに大切かを知ることができました。

 

生きていれば、

「なぜ、あの時こうしなかったんだろう」

「なぜ、あの時、こうしてしまったんだろう」

と後悔してしまうこともあるかもしれません。

 

そして、後悔はけして悪いものではない。

後悔の体験から、「いまの自分はどういう人でいたいか?」に気づくことができたら、それは人生をより豊かにするギフトに変わります。

 

その女の子はもう成人している年齢です。

もう一生会うことはないと思いますが、元気にしてくれているといいなあと思います。