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渋沢栄一が実践した「捗遣り(はかやり)主義」とは?|ビジネス・起業に役立つ結果を出す人の思考法

動画(7分4秒)の文字起こしを下に記載しています。テキストで読まれたい方はそちらをご覧ください。

 

こんにちは、達成メンタル強化塾の宮川です。この動画では、「日本近代資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一に学ぶ「捗遣(はかやり)主義」についてお話しをします。

 

さて、渋沢栄一といえば2024年から一万円札の肖像になることで再注目されていますよね。じゃあ、渋沢はそもそも何をした人かということを改めて確認しておくと、渋沢は明治維新の頃の人ですね。

 

その時代に今のみずほ銀行の前身となる第一国立銀行など、約500の企業の設立・経営に
関わったり、福祉・教育などの約600の社会公共事業に携わったスーパー実業家なんです。この数字だけ聞いてもすごい人だということは伝わると思うんですが、でもなぜ、数々の偉人がいる中でお札の顔になるほどすごい人物といえるのか?

 

「日本近代資本主義の父」とも呼ばれるほど偉大なふたつ名がつくのはなぜなのか?というと実は、その理由は別にあると歴史家の加来耕三先生はおっしゃってるんですね。

 

加来先生いわく、渋沢の本当の凄さは、明治維新において廃藩置県を実現したことなんです。廃藩置県、社会の授業で習った記憶がある人も多いかと思うんですが、簡単にお話ししておきますね。

 

まずそもそも明治維新の目的とはなんだったか、ということをお話すると、これは「日本」というひとつの国を作ること。それまでの江戸時代、幕末の頃は薩摩藩とか長州藩といった
藩がそれぞれ国のように独立している状態だったので、「日本」とか「日本人」という概念がなかったんですね。

 

この状態から、中央集権化して「日本」というひとつの国にまとめることが明治維新の目的だったんです。そして、そのために新政府は藩を廃止しようと考えたんですが、この時に大きな問題があったんです。

 

それは、藩をただ潰してしまうと、その藩から給料をもらっていた武士たちが生活できなくなって暴動が起きるという心配があったんですね。だけれども藩にかわって武士に渡せるお金は政府にはない。それで、藩を潰したくても潰せないというジレンマにおちいっていたんです。

 

このときに渋沢栄一は、日本ではじめて「公債証書」という手段を使って政府が民間から資金を集めて、その返済を待ってもらう間は利息を付けて、その利息を武士たちの当面の生活費にあてるようにしたんです。これによって廃藩置県が実行できて、明治維新の目的である中央集権化が実現した。これこそが、渋沢の“真の功績”だと加来先生はおっしゃってるんです。

 

こういうふうに誰も解決できなかった問題をたった一人、渋沢栄一だけが解決できた。それを可能にした最大の要因が、渋沢が少年時代に体得した「捗遣り(はかやり)主義」だったと言われてるんです。

 

この捗遣り主義というのは、たとえば本を読んでいるときに途中でわからない言葉が出てくることがありますよね。そのときに、わからない言葉が出てきたからとそこで止まってしまうんじゃなくて、いったんわからないままで保留にしてそのまま読み進める。そうやって読み進めていくとだんだん周辺情報が集まってきて、その言葉の意味がわかってくるという考え方です。

 

先ほどの公債証書でも渋沢は、その仕組みをフランスで学んだんですが、当時、フランスに渡った日本人は渋沢の他にもたくさんいたんですね。つまり同じような情報を持っている日本人は他にもいたわけです。だけど、それを実行できたのは渋沢だけだった。

 

じゃあ、渋沢は公債証書の仕組みを最初から完全に理解してたかというと、そうじゃなかったんですね。わからないところもたくさんあった。

 

だから、フランスから帰ってきていきなり国レベルで実行したわけではなくて、まずは静岡藩という小さいエリアでわかる範囲で実践してみて、やりながら、その仕組みの理解を深めていったんです。そして静岡藩で成果を出してからその後、大蔵省に移って国レベルで実行したということなんですね。

 

そしてこの捗遣(はかやり)主義、全ての答えがみえていなくても、わからない部分は一旦保留にしてやりながら答えを見つけていくという考え方は、現代のビジネスマンにとっても非常に役立つ考え方です。特に起業家にとっては必須だと僕は思ってるんですね。

 

僕も多くの経営者の方や富裕層の方ですとかベストセラー著者の方などにお会いしてきて、やっぱり優秀な人というのはこの捗遣(はかやり)主義の考え方をできる人が多いなと感じるんですね。

 

例えば、わかりやすい例でいうと、会社のホームページを作りますというときに最初から100点のホームページって絶対にできないです。なぜかというと、そのホームページが100点なのかどうかを知るためには、それを公開して世の中に出して実際に問い合わせがくるかどうか、そういったお客さんの反応を見ないと100点かどうかって絶対わからないからなんですね。

 

ですがつい、真面目な人ほど最初から100点のものを作らないといけないと思いすぎて、その答えがわからない部分があると手が止まってしまう。そうするといつまでたっても公開できなくなるし、公開できないということは、存在しないのと同じなので0点なんですね。

 

ですがうまくいく人はそれをわかっているので、50点とか60点の出来でもさっさと世の中に出して、お客さんの反応を見ながら改善して行くことをやります。だから結果が出るのも早いんです。

 

ただもちろん、この捗遣(はかやり)主義は、そのプロセスでは間違えたりうまくいかないことも多々あります。ただしうまくいかないことがあったとしても、それは本質的な失敗ではないんですね。

 

これはエジソンが残した有名な言葉にもありますが、

私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。

という言葉にも通じるように、間違いやうまくいかないことも、成功につながるプロセスだという捉え方をすることも、優秀な人に共通する考え方だといえます。

 

ですので、特に起業を目指している方や、新しいチャレンジをしていきたいと考えている方には、この捗遣り主義の考え方ですね。まずは、アクションを起こして走りながら答えをみつけていく、改善していく考え方をぜひ、取り入れていただければと思います。