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アファメーションの大量反復はなぜうまくいかないのか

セミナーやセッションで最も多くいただく質問のひとつが「アファメーション」に関するものです。アファメーションとは、なりたい自分になるための言葉による「肯定的な自己暗示」「肯定的な自己宣言」とも言われます。言葉を唱えるだけなので、特別な能力やお金もいらず人気がある手法です。

 

一方で、
「毎日、アファメーションを唱えているが効果が感じられない」
「数日で挫折してしまった」
という人も多いようです。

 
こういったアファメーションの反復・継続がうまくいきにくい理由を考える際には、「どのような『思い』を起点にして、アファメーションという『行為』を行なっているか」に視点を向ける必要があります。

 
例えば、「自分はダメな人間だ」「自分に自信がない」という思いを抱えている人がいます。その人は、ダメな自分を変えるために「私ならできる!」「私は大丈夫!」と何度も自分に言い聞かせる(アファメーションする)でしょう。「自分はダメな人間だ」「自分に自信がない」という思いがあるからこそ、「私ならできる!」「私は大丈夫!」と何度も自分に言い聞かせるのです。

 
逆に、本当に「自信がある人」なら、わざわざ力を込めて何度も自分に言い聞かせたりしません。

 
つまり、「私ならできる!」「私は大丈夫!」と何度も自分に言い聞かせるほど「自分はダメな人間だと思っているという事実」「自分に自信がないと思っているという事実」を自分に強調することになるのです。

 
アファメーションに取り組む上で大事なことは、次の2点。

 
ひとつは、「今、すでに理想の自分だったらそのアファメーションを何度もくり返すのか」を自分に問うこと。

 
※ちなみに「自信がない」の対極は「自信がある」ではなく、「そもそも自信という概念自体がない」です

 
そしてふたつめは、「そのアファメーションをつぶやいている時の感情、感覚は心地よいか」を確認すること。

 
このいずれかの答えが「No」ならば、そのアファメーションは今のあなたには合っていないのかもしれません。

 

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松波龍源さんというお坊さんと、コテンラジオの深井龍之介さんによる対談で、「念仏」が話題に上っていました。
「仏教を知れば、「悩み」にうまく向き合える」

 

対談の中で、龍源さんは「念仏を唱えることで自分から自我を抜き、悟りに至る」と語っています。

 

僕自身は先にお伝えした理由から、アファメーションの大量反復を推奨してはいません。しかし一方で、アファメーションの大量反復により内的、外的な変化を経験したことがある人も確かに存在します。そのような人たちの中では、龍源さんの言葉に基づくと、念仏と同じプロセスが生じていると考えると説明がつきます。

 

とはいえ「念仏を唱えることで自分から自我を抜き、悟りに至る」のは、龍源さんいわく「アルティメットな人たち」のやり方。

 

特定の言葉を大量反復することに人生の時間を使うよりも「今、すでに理想の自分だったら何をやるのか何をやらない(やめる)のか」を考え、行動に移す。つまり今すぐ理想の自分として生き始めることの方が色んな意味でメリットが多いと、僕は考えています。