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私たちはなぜ”心が傷つく”のか

執筆者:出口稀一
トランスフォーメショナル・コーチ®、心理アドバイザー


 
日々の人間関係の中で、私たちは「心が傷つく」ことを体験します。そして一般的には、この「傷つく」ことはネガティブなことと考える人がほとんどでしょう。

しかし、「傷つく」体験の心理的な背景には何があるのか?ということを理解することで、生き方が少し楽になることもあります。

心が傷つく体験の”本当の原因”の所在地はどこ?

「◯◯って言われて、傷ついちゃった」という表現を使う人は多いと思います。今日は、この「心が傷つく」という現象について考えます。

「心が傷つく」という時、私たちは「傷つけた相手」という”加害者”が存在して、自分はその”加害者”から傷つけられた”被害者”だと思いがちです。つまり、心が傷つくことの原因はその”加害者”にあり、自分の外にあるという考え方です。

しかし、人生で「心が傷つく」ことをくり返し体験し、もうこれ以上、傷つくことのくり返しをやめたい!という人は、この認識を変えていくことが重要になってきます。

私たちが「心が傷つく」という時、その”本当の原因”は、他者にはありません。その”本当の原因”の所在地は、「傷ついた」と認識した自分自身の中にあります。

この考え方をすぐに受け入れることは、難しい方もいるかもしれません。「あの人のせいで私はこんなに傷ついたのに、どうしてその原因が自分にあるというのだ?!」と納得できない方もいるでしょう。

そのような方は、無理にこの考え方に納得しきれなくても大丈夫です。「ああ、こんな考え方もあるんだな」という気持ちで、この先を読み進めてください。

なお、「原因の所在が自分にある」ということは、「自分が悪い」ということではなく、「原因の所在が自分にあるのだから、この”傷ついた想い”は我慢しなければならない」ということでもありません。

「傷ついた」体験を自分原因で考えることで、本当の原因に気づける

あなたが「傷ついた」と感じた相手の言葉やふるまいを見て、同じように「心が傷ついた」と感じる人もいれば、何も感じない人、あるいは逆にポジティブな反応を返して来る人もいるかもしれません。

例えば、あなたが「傷ついた」と感じた相手の言葉やふるまいを、

  • 明石家さんまさんが見たら?
  • メジャーリーガーのイチロー選手が見たら?
  • 坂本龍馬が見たら?
  • どのように感じたり、どのように反応するでしょうか?おそらく、「傷ついた」というのとは別の反応が想像されるのではないでしょうか。

    このことからも、「傷ついた」という時、その”本当の原因”は自分にあることが理解できるかもしれません。

    しかしそれは「あなたの心が弱いから傷ついた」ということとも違います。人が「傷つく」背景にはそのメカニズムがあるからです。

    人が「傷つく」とき、何が起きているのか?

    例えば、「まじめに仕事をがんばっていたのに、上司にダメだしをされて傷ついた」というケースをもとに考えてみましょう。

    この時、「まじめに仕事をがんばっていた」という文脈・背景がまずあります。そして、「上司にダメだしされた」という外的要因があり、その出来事によって自分の中に「傷つく」という感情が生まれています。

    つまり、「傷つく」という体験には、次のような一連の流れがあります。

    (1)文脈・背景(まじめに仕事をがんばっていた)

    (2)きっかけとなる外的要因(上司にダメだしをされた)

    (3)「傷つく」という内的反応

    ここでポイントになるのが、なぜ、その外的要因から「傷つく」という内的反応をわざわざ呼び起こしたのか?ということです。

    その理由は、事実を事実として見ていない(受け取っていない)からです。

    事実を事実としてみると、起きているのは、「まじめに仕事をがんばっていた」という文脈と「上司が仕事のことで何か言った」ということだけです。

    この「上司が仕事で何か言った」事実に対して、「ダメだし」というネガティブな解釈をつけていることがひとつの要因です。

    楽観主義者とは、どこでも青信号を見る人のこと。
    悲観主義者とは、赤信号しか見えない人のこと。
    そして、真の賢者とは、色盲である。
    (シュバイツアー)

    この名言は、楽観主義者とはどんな環境でも「良いこと(青信号)」を見て、悲観主義者とはどんな環境でも「悪いこと(赤信号)しか見えない」。そして、真の賢者は「そもそも良いこと・悪いことという解釈(色付け)をしない」ことを表しています。

    一般的には「楽観主義は良いこと」と思われがちですが、「青信号は良いことで、赤信号は悪いこと」という解釈があると、「赤信号は避けたい」「赤信号は見ないようにしなきゃ」と言う想いが生まれ、それが葛藤の元になることがあるからです。

    真の賢者とは、青信号も赤信号も、どちらが良い・どちらが悪いと解釈をつけない態度の人です。

    つまり、楽観主義者なら「上司は自分に期待しているからこそ、指導してくれるんだ!」と思い、悲観主義者なら「上司は自分のことが嫌いだから、ダメ出ししてくるんだ」と思い、そして賢者は「上司がこう言った。だから私はこうする。以上」と、このような感じで反応するでしょう。

    「事実に解釈をつけず、事実を事実としてみる」と、これまで「傷つく」と感じていた体験についても、違った見え方ができるかもしれません。

    情報と自分の価値を結びつけていないか?

    また「傷つく」ことの多い人の思考パターンの特徴として「他者からのネガティブな意見」と「自分の価値」を結びつけることがあります。

    先ほどの例でいえば、上司が(私の仕事のやり方について)指摘したことに対して、「私自身がダメだしをされた=私の価値が否定された」と自動的に結びつけてしまうことです。あくまでも上司は「仕事のやり方」に対して指摘したことが、「私の価値そのものに対する攻撃」と受け取ってしまっていたのです。

    このような「自己価値認識との同一化」は、無意識のうちに自動的に実行されます。

    例えば、自分が働いている会社、自分の持ち物、自分の出身校、自分のひいきのチームに対してネガティブな意見があると、それを自分自身と同一化して「傷つく」ということが起こったりします。

    他者からの意見を自分の価値と結びつける人は、自分の価値を維持するために、人から承認を得ることや、人から批判されないことに基準を置いて、ものごとを判断したり行動したりします。

    この時人は、常に周囲に注意を払う必要があるので、緊張状態が続き、疲れやすくなったり目標を実現するエネルギーが低くなります。また、「本当はこれがベストな選択だ」「本当は私はこうしたい」と思っていても、他者の意見を気にするあまりに適切な選択ができず、結果的にものごとがうまく進みません。

    また、自分の想いよりも他者の意見を優先する人は、病気になりやすかったり、人生に幸福感が得られにくい傾向があります。

    「傷つく」という体験が教えてくれること

    ではどうして、他者の意見と自分の価値を結びつけてしまうのでしょうか?

    その根本原因は、自己認識(セルフイメージ)の課題に行き着きます。自分で自分自身の価値を認められていなかったり、「わたしには何かが足りない、欠けている」という自己認識があると、他者からの評価でそれを補おうとしてしまうからです。

    ほんとうは、人から何を言われようが成功しようが失敗しようが、あなたには価値があり、あなたはそのままで完全に素晴らしい存在です。

    しかし、”たまたま”「足りない・欠けている」という幻想を真実として採用してしまったがために、他の誰かの言葉やふるまいに影響され、傷つくことをくり返してきました。

    本来は、他の誰も、あなたを傷つけることなどできないのです。

    あなたが「傷ついた」と感じる時、それは「他人の言動に影響されてるよ!」というサインであり、「あなた自身の価値に、他人の意見は関係ないよ!気づいて!」と教えてくれている、潜在意識からのメッセージとも言えるのです。

    傷つく体験をくり返す現実を変えていきたい方へ

    すべての現実は潜在意識下にその根本原因があり、その根本原因にアプローチすることで現実を変えていくことができます。

    こちらの記事や情報も参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

    参考記事:【2018年最新版】セルフイメージを高める言葉と行動とは
    参考記事:人間関係がうまくいかない時の潜在意識にある要因と現実を変える方法
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    この記事を書いた人

    出口 稀一(でぐち・きいち)
    トランスフォーメーショナル・コーチ®
    心理アドバイザー/児童心理アドバイザー

    元行政職員。児童福祉司として児童相談所(虐待・非行担当)での勤務をはじめ、DV対策・人権同和対策等に従事し、延300人を超える市民の相談対応を行う。2013年に独立し、コンサルタントとして活動する傍ら、世界的に活躍する師のもとで人間心理、言語学心理、NLP(神経言語プログラミング)、LABプロファイルを学ぶ。

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