デヴィッド・R・ホーキンズ著「パワーか、フォースか」の意識レベル理論を実生活で活かす方法をお伝えしています

非行の子への接し方|親が本当の自分を生きれば子どもの非行は解消する

非行の子への接し方

非行の子どもさんへの接し方について、これまでに多くのご相談を受けてきました。子どもの非行とは環境に対する反応です。どんなに非行がエスカレートしていた子どもでも、鑑別所に入るなど環境が変わると、びっくりするほどかわいらしくなったりします。どんな子どもでも非行は環境への反応であり、環境が変われば子どもは変わることを、知っておいていただきたいと思います。

しかし環境が変われば子どもが変わるとは言え、それは「転校する」とか「施設に預ける」といった表面的、現象的対処では本質的な解決にはなりにくいものです。一時的に行動化が止むことはあるかもしれませんが、根本原因が解消されていなければ、別の形で悩みが現象化します。子どもにとっての環境とは、すなわち親の内的な意識の世界のことです。非行を根本解決するには、親の意識が変容する必要があると、私は考えています。

非行の子どもの心理的背景とは

非行の子どもの心理的背景にあるのは、つきつめると”不安”や”恐れ”です。非行の子への接し方を考える上では、この”不安”や”恐れ”を周囲の大人がいかに解消するか?を意図する必要があります。

親を愛情を確認する手段としての非行

例えば親の関心の比重が他のきょうだいに傾いていると子どもが解釈している場合など、親の関心を自分に向けさせる手段として、無意識的に非行という表現方法を選んでいる場合があります。非行によってどれだけ親から責められたり、叱られたりしても、それらのアクションを通じて子どもは親の愛情を確認しています。

この場合、子どもがわざわざ非行という表現手段を取らなくても、親の愛情を確認できるよう状況を整えていく必要があります。物理的に一緒にいる時間を増やしたり、他のきょうだいはひとまず置いておいて、その子と1対1で話し合う時間を持つことも有効です。親が急に変化すると子どもが戸惑いを見せる場合もありますが、覚悟を持って子どもに向き合うことは、とても大切なこと。

それでも子どもが変わる様子がなければ、親御さんの意識の中にもしかしたら、子どもの非行を継続させる別の要因があるのかもしれません。

外的基準の思考・行動パターンが背景にある非行

あるいは、周囲に対して自分を大きく見せるための手段として、非行という表現方法を選んでいる場合があります。例えば、成長や発達のペースが周囲よりゆるやかなお子さんの場合、勉強やスポーツなど様々な場面で「他人と比べて自分は劣っている」と解釈することがあります。この「他人と比べて劣っている自分」という自己認識から逃げるための手段として、非行という表現を選ぶことがあります。

学校などの集団生活の中で、子どもは誰かを比較されたり、結果の「勝ち負け」を体験しながら成長します。もちろん、この体験そのものに良いも悪いもありません。重要なのは、それらの比較や勝ち負けの受けとめ方です。

日本人は、他者からの評価や比較、勝ち負けを重視する人が多い国民性です。この思考パターンをNLP(神経言語プログラミング)では「外的基準」と呼び、うまくいかない現実の背景にある典型的なパターンとされています。

この「外的基準」に対して、物事の基準を自分の中に置く思考・行動パターンを「内的基準」と呼びます。内的基準の思考・パターンでいると、人からどう見られるか?人から批判されないか?人と比べて勝っているか?は単なる情報でしかなく、それらによって動機づけられることはありません。すべての基準は「私はどうしたいのか?」「私はどうありたいのか?」「私はどう思うのか?」になります。

非行の悩みにかぎらず、目標が実現できない、悩みが解消されないというご相談があった際に最初にチェックするポイントのひとつがこの外的基準です。外的基準でいると、人は本当の自分の想いを抑圧して生きることになります。本当の自分を生きられなくなります。それが様々な形でひずみとなって現象化するのです。

子どもは、親の思考・行動パターンをそのまま受け継ぎます。親が外的基準の思考パターンで動いていると、子どもも自然に外的基準になります。

子どもの非行の原因が外的基準にあることに気づいたら、まずは親御さん自身の思考・行動パターンを内的基準に変えてみましょう。その上で、非行の子どもへの接し方、言葉かけを変えていきましょう。「学校に迷惑をかけるから」「先生に叱られるから」「世間体が悪いから」非行をやめさせなくてはならない、というのはすべて外的基準の思考パターンです。外的基準の思考パターンで子どもの非行を解決しようとしても、かえって非行を強化させる方向に作用してしまいます。

子どもを内的基準に導く接し方とは、
「あなたは、どう思うのか?」
「あなたは、何をしたいのか?」
「そして、どうしてそう思うのか?(理由)」

を訊ね、その答えに大人が耳を傾けることです。

そして一方で、親御さん自身が
「親子関係という体験を通して、わたしは何を得たいのか?」
「世間体や周囲からの評価は関係なく、どんな親子関係を築いていきたいのか?」

を考え抜いて、子どもに伝えていくことです。

非行という反応を引き起こしているのは、親のメンタルの課題

子どもの非行を、親御さんのメンタルの課題の投影(意識の状態が現実に映し出されること)という側面から見てみましょう。子どもの非行を本質的に理解するためには、この視点は欠かせません。

子どもの非行の背景には多くの場合、親御さんのメンタルの課題があると言う視点を持っていただくことはとても重要です。まずは親御さんご自身が自分に深く向き合っていくことが、非行の根本解決には欠かせません。
※このメンタルの課題とは、育て方が悪いとか、考え方が間違っているなどの表面的なものではありません。親御さんご自身の過去の記憶が、ちょっとしたボタンのかけ違いのように作用し、無意識レベルで役に立たない信じこみや、解消できない想いを生じさせている状態です。

例えば、親御さん自身に「私はダメな人」という自己イメージがあれば、その自己イメージを証明するために、潜在意識が子どもの問題を現実化させることがあります。

あるいは、「子どもの非行に苦労している親」を演じることで誰かの気を引いたり、周囲からの評価を得る手段になっているケースもあったりします。
あるいは、親御さんの内面の奥にある「私には何かが足りない」という欠乏感を埋める手段として、子どもを使っている場合(親御さんの夢を子どもに叶えさせる、親のコンプレックスを子どもを通じて解消するなど)、そのコントロールに対する反発として非行が現れる場合もあります。

非行の背景にある親御さんのメンタルの課題には、さまざまなケースがありますが、それは、親御さん自身が自分の人生を生きていないことの現れなのかもしれません。

子どもの非行は、親御さんに「自分自身の生き方に、そろそろ向き合いなさいよ」と教えてくれるメッセージとも言えます。子どもは無意識レベルで、自分の人生をかけて、親御さんに「本当の自分の生き方」を取り戻してもらおうとしているのかもしれません。