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「自分は気づいていないが、他人は知っている自己」が人間関係を決めている

昨日の記事では「人間関係でうまくいかないパターンをくり返してしまう」その背景に、以下のような意識のはたらきがあることをお伝えしました。
 

  • 人は「相手が自分に何を期待しているか?」を知ると、その期待どおりにふるまおうとする
  • この時の「期待」とはポジティブなものだけでなく、ネガティブなものも同様に作用する
  • 人は無意識領域でもコミュニケーションを取っており、「相手に対する期待」もまた無意識のうちに相手に伝えている

 
↓昨日の記事をまだ読まれていない方はこちら↓
>>なぜ、人間関係で同じパターンをくり返してしまうのか?

 
そして、無意識にあなたが相手に伝えている「期待」を相手の無意識がキャッチして、相手もまた無意識にその「期待」どおりにふるまってくれている。人間関係においてはこのような相互作用がはたらいていると考えられることをお伝えしました。

 
以上にお伝えしたことは仮説ではありますが、この仮説にもとづいて、無意識レベルの相手に対する「期待」を変化させる心理アプローチを行ったことで、次のような変化が起きたご報告を頂いています。

 

  • 異性に興味を持たれない人間だったが、10年ぶりに彼女ができた
  • お客さんに初見から安心して話をしてもらえるようになったことでセールスがスムーズになり月商が7倍になった
  • 親御さんの無意識の「期待」を変化させたことで、お子さんの引きこもりが解消
  • 職場にいる攻撃的な人に対する「期待」を変化させたことで、相手の態度が協力的に変わっていった
  • 関係の冷え切っていた夫(または妻)に対する「期待」を変化させたことで、愛情を感じられるあたたかい関係が戻ってきた

 
上記のうち、僕の経験上、特に夫婦関係や職場の人間関係は変化の起こりやすいテーマであると感じています。

 
今、あなたに関わっている相手は、あなたが無意識に伝えた「期待」どおりにふるまってくれている。

 
とはいえ、こう言われると
「いや、そんなことは1ミリも期待してない!」
実感としてはそう思われる方が多いかもしれません。

 
ですがそれはあくまでも、自分で知覚できる顕在意識(表の意識)の領域でそう思っているだけ。相手のふるまいを決定づけているのは、潜在意識(無意識)領域にある”期待”です。

 
では具体的に、潜在意識(無意識)領域では、人はどのような”期待”を伝えているのか?

 
潜在意識が相手に伝えるもっとも重要な”期待”とは「私をどのように扱ってほしいか」ということです。

 
というのも潜在意識(無意識)には、今の状態を現状維持したがる特性があるからです。

 
潜在意識(無意識)は今の状態を現状維持するために、相手に対して「今のセルフイメージや世界観を現状維持し続けられるように私を扱ってください」という”期待”を発します。

 
たとえば次のような”期待”です。

  • 「私は人から軽く扱われる人」というセルフイメージを無意識に持っている人は、今のセルフイメージを現状維持するために、相手に「私を軽く扱って」という期待を無意識に伝えている
  • 「私は愛されない人、人から興味を持たれない人」というセルフイメージを無意識に持っている人は、今のセルフイメージを現状維持するために、相手に「私に興味を持たないで」「私を愛さないで」<という期待を無意識に伝えている
  • 「世界は敵だらけ」という世界観を無意識に持っている人は、今の世界観を現状維持するために、相手に「私の敵になって攻撃して」という期待を無意識に伝えている

 
上記は一例ですが、このような”期待”を無意識に伝えた結果、相手はその”期待”どおりにふるまってくれているのです。

 
※ただしショックな体験の直後など、その方が置かれている状況やタイミングによっては、上記のような「自分が相手にそのようにふるまわせた」という立場を取ることが適さない場合もあります。そのような場合は、まずは相手にしっかりと怒りを向け被害者の立場を充分に体験することが、その人の心理的回復のために必要といえます。

 

自分は気づいていないが、他人は知っている自己

ここまでお伝えしてきたことを「ジョハリの窓」という有名な自己分析ツールを使って見ることもできます。

 
ジョハリの窓では「自己」を以下の4つの領域に分けます。

  • 自分も他人も知っている自己(開放の窓)
  • 自分は知っているが他人は気づいていない自己(秘密の窓)
  • 自分は気づいていないが他人は知っている自己(盲点の窓)
  • 自分も他人も知らない自己(未知の窓)

※一般的なジョハリの窓の図解は、左右の列が逆になっています。

 
この図の右列の「自分が知っている自己」(開放の窓・秘密の窓)が表の意識(顕在意識)の領域にあり、図の左列の「自分は気づいていない自己(盲点の窓・未知の窓)は潜在意識(無意識)の領域にあると言えます。

 
そしてこの中で、「自分は気づいていないが、他人は知っている自己(盲点の窓)」が、無意識のうちに他人に伝えている”期待”にあたります。

 
つまりこの「自分は気づいていないが、他人は知っている自己」を変化させていくことで、無意識に他者へ伝える「期待」を変化させ、人間関係を変化させていくことができるのです。